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超一流になるのは才能か努力か?(前編)

こんにちわ

がじぇったー (@hackmylife7) | Twitter


です。


『超一流になるのは才能か努力か?』
という本を読んだのでその内容をまとめます。

超一流になるのは才能か努力か?

超一流になるのは才能か努力か?


自己啓発っぽいタイトルそうに見えて中身は数多くの研究や論文の内容がベースで非常に納得性の高い内容でした。

「超優秀と言われる人間はどのような練習、訓練を経てその能力を身につけたのか?」ということをテーマに約350ページに渡り論じられております。

著者は30年以上にわたってそのような人並み外れ人たちを様々な角度から研究してきた人物とのことです。


長いので前編後編に分けてまとめていきます。




TL;DR(要約)



  • 「 努力し続けなさい、そうすれば目標を達成できるよ」と。これは間違っている。正しい訓練を十分な期間にわたって継続することが向上につながる
  • 一般的に何かが「許容できる」パフォーマンスレベルに達し、自然にできるようになってしまうと、そこからさらに何年練習を続けても向上に繋がらないことが研究によって示されている
  • 練習に膨大な時間を費やさずに並外れた能力を身につけられる者は一人もいない、と言い切って間違いない
  • 限界的練習には明確に定義された具体的な目標がある。学習者は訓練によって自らの技能が向上していることを確認できる




序 章 絶対音感は生まれつきのものか?



絶対音感は、その言葉の意味するところから、生まれつき持っている人と
持っていない人に分かれていると考えられてきた。ところが、幼少期にある練習をすれば、
ほぼ全員が絶対音感を身につけることができる、ということがわかってきた。


  • 絶対音感は数ヶ月のトレーニングで全ての子供が適切な訓練により、身に付けることが2014年の学術誌で明らかにされている
    • 訓練によって新たな脳の回路が構築される
    • 科学者は何十年というもの、生まれた時から我々の脳の回路は固定されており、その回路のあり方によって能力は決まっていると考えられてきた
  • しかし脳の研究者は我々(たとえ成人の脳であれ)それまでの想定を超える適応性があり、自らの意思で脳の能力を変えられることを明らかにした
  • なぜ、どんな分野にも驚くほど優れた人が存在するのか?
    • 分野は違えど、彼らに共通していることはひたむきなトレーニングによって脳に(能力によっては身体にも)変化が起こり、トレーニングをしなければできなかったことができるようになるのだ
  • ただ努力するだけでは能力は向上しない
    • うまく行く方法、行かない方法はどんなものか、またそれはなぜなのか?
    • 「 努力し続けなさい、そうすれば目標を達成できるよ」と。これは間違っている。正しい訓練を十分な期間にわたって継続することが向上につながる
  • 本書は正しい訓練とは何か?またどうすればそれを実践できるのかを詳しく説明する



第一章 コンフォート・ゾーンから飛び出す「限界的練習」




短期記憶では、7ケタの数字を覚えるのが限界。実は、それは誤った常識だ。
私と特別な練習を繰り返した学生は、最終的に82ケタも記憶することができたのだ。
限界を少し超える負荷を自身にかけつづける。そこに秘密がある。


  • もっとも有効な練習法は、分野を問わず同じ原理に基づいている。本書ではそれを限界的練習と名付ける
  • ひとたびソコソコのスキルレベルに達し、運転でもテニスでもパイを焼くのでも特に意識せずにできるようになってしまうと、そこで上達は止まる。
    • 同じ練習続けていれば能力が向上し続けると思っている人が多いが、それは間違いである。運転歴20年の人は5年しか運転していない人より上手で、20年医者をやっている人は5年しか経験のない若手より優れている、20年教壇に立っている教師は5年しか教えていない教師より上である、というのは単なる思い込みである。
  • 一般的に何かが「許容できる」パフォーマンスレベルに達し、自然にできるようになってしまうと、そこからさらに何年練習を続けても向上に繋がらないことが研究によって示されている
  • 継続的に向上するには目的のある練習(限界的練習)を行う必要がある

限界的練習の定義

  • (1): 目的のある練習には、はっきりと定義された具体的目標がある
    • 大切なのは、長期的な目標を達成するためにたくさんの小さなステップを積み重ねていくこと
    • 「上手くなりたい」といった漠然とした目標を改善できそうだという現実的期待をもって努力できる具体的な目標に変える
  • (2): 目的のある練習は集中して行う
  • (3): 目的のある練習にはフィードバックが不可欠
    • 自分がやるべきことをきちんとできているのか、できていない場合はどこが間違っているのか、私たちは把握字なければならない
  • (4): 目的のある練習には、居心地の良い領域(コンフォートゾーン)から飛び出すことが必要
    • 自らをコンフォートゾーンの外へ追い立てることなくして決して上達はない。自らのコンフォートゾーンから飛び出すというのはそれまでできなかったことに挑戦するという意味だ。
    • 壁を乗り越える方法は「もっと頑張る」ことではなく、「別の方法を試す」ことだ。テクニック、つまりやり方の問題。教師やコーチの存在が役立つ理由の一つはここにある。どんな分野においても絶対越えられない能力の限界に到達したという明確なエビデンスが示されるケースは驚くほど稀である。むしろ挑戦者が単に諦め、上達しようと努力するのをやめてしまうケースが多い





第二章 脳の適応性を引き出す


限界的練習によって、最も変化が起こるのは脳である。たとえば、バイオリニストや
チェリストは練習を積むうちに、演奏において最も重要な左手指を制御する脳の領域が
大きくなる。こうした脳の変化こそがあらゆる「能力」の正体なのだ。


  • 適切な練習によって実現する驚異的な能力向上の背後では何が起きているのか?
  • 我々の身体、脳は十分な負荷を十分な期間にわたって与えれば、体はそれを楽にこなせるように変化する。脳はニューロンのネットワーク配線が組み替えられることにより変化している。
    • ただ、一つ落とし穴がある。一度機能不足を補うような変化が起きてしまうと身体、脳は以前なら負荷を感じたような運動を楽にこなせるようになる。また居心地の良い状態に戻ってしまい、変化は止まるのだ。
  • 一方、あまりにも長時間負荷をかけつづけると燃え尽きてしまい、学習効果は低くなる。身体と同じように、脳でもコンフォート・ゾーンの「はるか上」ではなく「少し外側」というスイートスポットで最も急速な変化が起きる
  • 我々は日々の生活や仕事をこなすのに十分なレベルまで学習するが、一度そのレベルに到達してしまうと、「これで十分」の先に進むための努力をすることはまずない。しかし別の選択肢があることを知って置くことは重要だ。何かにおいて思い切り能力を伸ばしたいと思うなら、それは可能なのだ。






第三章 心的イメージを磨きあげる



チェスのグランドマスターは試合途中のチェス盤を数秒見るだけで、すべての駒の
配置を覚え、ゲーム展開を完璧に理解してしまう。超一流が、瞬時に膨大な情報を
処理するために活用しているのが「心的イメージ」だ。それは一体何なのか。


心的イメージとは?

  • 心的イメージとは脳が今考えているもの、概念、一連の情報など具体的あるいは抽象的な対象に対応する真的構造のことである
  • 傑出した技能を持つ人々と普通の人との違いは心的イメージの質と量である
    • エキスパートは長年にわたる練習によって脳の神経回路が変わり、きわめて精緻な心的イメージが形成されていることで、ずば抜けた記憶、パターン認識、問題解決などそれぞれの専門分野で圧倒的技能を発揮するのに必要な高度な能力が実現する
  • どんな分野においても、技能と心的イメージの間には好循環が生まれる。技能が高まるほど心的イメージの質も高まり、心的イメージが優れていると技能を高めるのに効果的な練習ができる
  • 限界的練習の最大の目的は有効な心的イメージを形成することであり、心的イメージもまた限界的な練習において重要な役割を果たす
    • スキルを磨くことが心的イメージを磨き、優れた心的イメージがスキルの向上をさらに後押しする。
    • 階段を一段上がるたびに次の段を作ることになる。それを作るとさらにまた次を作る、そんな具合に心的イメージは磨かれていき、以前はできなかったことができるようになる




第四章 能力の差はどうやって生まれるのか?




超一流のバイオリニストと、音楽教員になる道を選んだバイオリニスト。両者を比べると、
超一流は18歳までに、平均で4000時間も多く練習を積んでいた。だがそのレベルに
到達するには、練習時間以外にもある重要な要素が必要だった。

  • 「優れた人」と「傑出した人」の差を生む原因はなにか?
  • ベルリン大学の生徒を「普通」、「優れた人」、「傑出した人」の3つにグループ分けした調査
  • 一人で練習に費やした時間の合計が「傑出した人」の練習時間は抜きんでていた
    • 「傑出した人」のグループは18歳になるまで7410時間を練習に費やしていた(平均3420時間)
    • 近道をした者、比較的わずかな練習でエキスパートレベルに達した「天才」は一人もいなかった
  • 重要な発見の一つが、能力向上に重要と答えた活動のほとんどについて、非常に負担が大きく、あまり楽しくないと感じていたことで、例外は音楽鑑賞と睡眠だけだった
  • これまでにさまざまな分野で実施されてきた多くの研究の結果を見れば、練習に膨大な時間を費やさずに並外れた能力を身につけられる者は一人もいない、と言い切って間違いないだろう。私の知るかぎり、まっとうな科学者でこの結論に異を唱える者は一人もいない

傑出した人間をつくる限界的練習の特徴

  • 限界的練習はすでに他の人々によって正しいやり方が明らかにされ、効果的な訓練方法が確立された技能を伸ばすためのもの
    • 練習のカリキュラムはエキスパートの能力とその開発方法に通じた教師、あるいはコーチが設計し監督する
  • 限界的練習は学習者のコンフォート・ゾーンの外側で、常に現在の能力をわずかに上回る課題に挑戦しつづけることを求める。このため限界に近い努力が求められ、一般的に楽しくはない。
  • 限界的練習には明確に定義された具体的な目標がある。学習者は訓練によって自らの技能が向上していることを確認できる
  • 限界的練習は意識的に行う。つまり学習者は全神経を集中し、意識的に活動に取り組むことが求められる
  • 限界的練習にはフィードバックとそのフィードバックに対応して取り組み方を変えることが必要

できるだけ優れた指導者を見つける

  • 成功するために一番重要なことの一つは、優れた教師を見つけ、その指導を受けること
  • 優れた教師は一人で練習していてはとても得られないような貴重なフィードバックを与えてくれる

「1万時間の法則」はなぜ間違っているのか?

  • 一万時間の法則とは2008年にマルコム・グラッドウェルが「天才!成功する人々の法則」で言い出したこと
    • 大抵の分野で達人の域に到達するには一万時間の練習が必要という主張である
  • いくつかの点で間違っている
    • 一万時間という数字には何の特別な意味も魔力もない
    • 具体的な目標に向けた限界的練習と一般的な練習の区別は極めて重要だ
    • ただの練習と特定の能力を向上させるという目標に向けて一時間練習するのとはまるで違う


超一流になるのは才能か努力か?

超一流になるのは才能か努力か?



後半は以下の内容です。



後半の内容

  • 第五章 なぜ経験は役に立たないのか?
  • 第六章 苦しい練習を続けるテクニック
  • 第七章 超一流になる子供の条件
  • 第八章 「生まれながらの天才」はいるのか?
  • 終 章 人生の可能性を切り拓く